Amazonが突然これの3巻をレコメンドしてきて、レビューでもべた褒めされていたので読んでみました。
お伽ばなしに出てくる鬼や妖怪変化は実在する化物であり、お伽ばなしは彼らの異常犯罪の記録を後世に伝えているのである…ということで、その化物たちを追って捕まえていく話。ちなみに「てっぺんぐらりん」というのは、有名どころで言えば「とっぴんぱらりのぷう」の意のアレだそうです。
というわけで、妖怪ハンターや
「本当は怖い●●童話」系や
月光条例
…が、好きな私としては当然に好きなジャンルの話だったのだけど、好きなジャンルだけに、なんとなく消化不良の感。
実在する化物である、ということであれば、民俗学や超自然などとからめつつ、現代よりも人の命が軽かった昔の風習が今に残っていて…という妖怪ハンターのほうが説得力と世界観のおどろおどろしさや被害具合の猟奇っぷりがあり
お伽ばなしの登場人物の行動を現実の人間に当てはめてみると…という観点の話とすると、化物が実在すると謳っているローファンタジーであるという時点で、なぜ加害者がそのような異常犯罪に手を染めるに至ったのか、というのが「そういう性質の化物なので」で説明できてしまうため背景の描写が浅く、ゆえに「本当は怖い●●童話」系ほどに「実際こういうことありそう」と身に迫る部分がなく
お伽ばなし上では「善い」側のキャラクターが、その性質を突き詰めると人間に害を為す存在に…という発想の逆転の面白さで言えば月光条例が先行していて
全体として、こういう話は嫌いじゃないんだけど…嫌いじゃないんだけどもね…というもやっとした感想。作者さんの好みじゃなかったら申し訳ないけども、表紙のこのふたりのブロマンス要素でも入れてくれたらもう少し差別化できたんじゃないだろうか。主人公(黒髪のほう)が、鬼の正体を見破る桃生の一族の末裔でその力ゆえに父を鬼に惨殺されている…という、いっちゃなんだが相当美味しい設定があるのだが、なんかこう、ブロマンスに発展するにしては色気がないというか、そんな暗い過去を背負った主人公が悪い意味で淡々としすぎててな…トラウマで突然倒れたりとか極端な人間不信に陥ってるとかそういうところも特になく、まっとうな大人すぎて萌えられないというか…
この漫画ゆえの特色と感じたところとしては、リアル寄りの絵柄ながら、異常犯罪の被害具合がさらっとではあるがしっかり描かれているので、そういうスプラッタ系の絵を見るのが好きな人にはいいかもと思います。バラバラ死体のバラバラ具合がさらっと出てきたときにはマジでびっくりしました…あくまでさらっと描かれているところが逆に怖い。
ところで調べてて思い出したんですが、「本当は怖い●●童話」的なものの元祖って桐生操先生のこの本な気がするんですけど、ぶんか社はタイトル使用料とか払ってるんですかね。(払ってなさそう)(超★余計なお世話)
発売当時けっこう話題になってて読んだ思い出。