処女を求めて人間界に降り立ったインキュバス(通称キュバちゃん)は、この現代において珍しく処女のかえでに目をつける。しかしかえでは、処女であるのも当然の、とんでもないクソオタ女だった…! という話。
カレー沢薫さんの作品は全般的に好きなんですけれども、だいたいの場合面白さが説明しづらいです。題材がアカンやつというばかりではなく
題材がアカン(実例)
なんというか、設定聞いて、それほんとにおもしろい?みたいな。
クレムリンなんか、カレー沢薫だから面白いとしか説明できん
ですが、これは珍しく内容のキャッチーさが説明しやすいです。今どき流行りの、オタクもの。女の子観察マンガ。うけそう! ただし、シュレーディンガーの猫を殺さないで的な。つまり、観察しちゃアカンほうのやつ。
私もいちおうオタクの端くれではあると思うんですが、この漫画を読むとなんか全然普通だなって思います。オタクを”卒業”した相手がオタクを下に見て来るのに対して(でもこれも”オタク”が社会的ステータス扱いになっている今時はもう違うのかなと思いつつ)反論したり、オタク最大のマナーは公式に迷惑をかけないこととか言い出すあたりはトクサツガガガなどを思わせるいい話なんですが、ウンコパク蔵が出て来るとやばい。もう一度描くけど、ウンコパク蔵がやばい。
ウンコパク蔵(芸名)は聞いただけで妊娠するようなドSボイスを持った人気声優。見た目は地味で普通のメンズなんですが、女性に声をかけたかえでAVのスカウトだと思われ、素質のある女性ならば即奴隷化し、幼女に話しかければ職務質問で警察にひっぱっていかれるも、いっぽう声をかけられた幼女にはヰタ・セクスアリスが訪れるっていうなんかもうエロ漫画業界に逆輸入してやりたいチート能力の持ち主。
パク蔵さまの声を聞くなり、インキュバスのキュバちゃんへは常に冷静そのもののかえでの理性は蒸発。ただ、蒸発、するんだが、それでパク蔵様抱いて!ってなるかといえば全然ならず、徹夜でただ声を聞き続けるだけ。なお、悪魔の力によりキュバちゃんとパク蔵さまはすでに知り合いで、会おうと思えばいつでもあえる、っていうか、キュバちゃんがパク蔵さまに抱かれていたりする(無理矢理)わけだけれども、欲望があくまでも2次元から出てこないあたりが、オタクの業の深さを的確に表しているわけで…
なお、極端な描写はしょせん作り事でしょー!って本来ならば思うわけですけれども、作者さんが、作中に出て来るソシャゲの元ネタと思われる某日本刀ゲームの課金廃と化しているのは以前から有名なので、オタクネタまわりに関してはああこれ作者の実体験なんだろうなと思える箇所がちらほらあります。
オタク女子の腐海の闇の深さを垣間見たい人にぜひ。