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実用書 漫画

「友達100人切れるかな」宮部サチ 1〜2巻(完結)

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ちょうど最近友人づきあいについて少し考えるところがあり、目についたので読んでみた。

読む前から「とはいってもこんな基準で友達切ってたら友達ひとりもいなくなるのでは」……という感想になるのではと思いながら読んだのだが、友達をやめるレベルとしては概ねその通りながら、「友達なんか0人になってもいい」「今の友達をやめればまた別の友達ができる」という前提のもとに友達関係をやめる切ることを推奨している、という感じだった。

前者はともかくとして、後者については、大人になるとなかなかそうもいかないんだよな……と言う気はするが、ともあれ、たとえ数少ない友達と言えども自分の害悪であれば距離を置くべきだという意見には全面的に賛成。

友人の多さが人生の充実具合のバロメーター、というのは一面なくはないと思う。なにかをやっていれば自然と知り合いは増えるものだし、そのなかには生涯の親友に発展するひともいるかもしれない。あるいは、なにかをするにあたって、ひとりでいくには少し気後れしてしまうが気のおけない友人が一緒なら……というのはある。ただ、それは友人が今の自分の人生にとって必要な相手であるから、という前提であって、そうでないのなら、ましてやメリットよりもデメリットが多い相手なのならば、縁を遠ざけることは躊躇わないほうがいい。

今「メリットデメリット」と書いたが、友人づきあいにそういう打算的な考えを持ち込むことはあまりよくないと思われがちで、私も以前はそう思っていたが、たとえば金銭的なものや立場を超えて付き合う友人関係であっても、そこには「その人と友人でいることのなにかしかのメリット(精神的に良い影響があるなど)」があるからお付き合いをしている。一度友人関係となったなら生涯その人との「友人である」距離を保たなければならないという考えにとらわれることは、一度結婚した相手はたとえ相手がDV野郎であっても生涯添い遂げなければならない、ということと同じくらい無駄だと思う。まして友人関係に契約はない。そういう意味では、どんなに長い付き合いであっても「この人はなんだか嫌に思えてきたな」というカジュアルさで友人関係は終わらせてもいいのではなかろうか。フレネミー化した友人と距離を置くのは当然のことにせよ、お互い悪意はなくともいつの間にか人生の座標軸が遠ざかっていた、ということはある。そういう時には、無理に元の距離を保とうとしないことも大事なのではないだろうか。もちろん、だからといって、相手の心を傷つけていいというわけではないので、そっとフェードアウトできるような配慮は必要になるにせよ。

なんだか自分の考えを延々と語ってしまったが、このマンガの感想としては、明確なNGはないものの、この話知ってるなあ、とか、読んだことあるかも、みたいなエピソードが多く、なんというか、読んでダメだと思ったことは特にないのだが、べつに読まなくてもよかったかな、と思わせる内容だった。いわゆる、毒にも薬にもならない系というか。

友人関係についての自己啓発系ノウハウ本をコミカライズしたような感じで、まさにこういったことに悩んでいて、関連本も読んだことがなければためしこれから、と言う感じでいいのかもしれないが(2巻で1,000円越えは多少高めだが……)、Twitterで時々バズるような友人関係についての割り切りエピソードなどを読んだことのある人には既視感のある話しかないと思われる。

なお、似た系統のマンガとして「ブラックガールズトーク」があるが、同じようなエピソードでも、3人の女子の切れ味の良い毒舌が心地よく読んでいてスカッとする。このマンガには、そういう、ノウハウ+αの、αの部分があまりないなという印象。

と、まとめていえば、既視感のある話しかなかった、ので、この本に対する感想はあまりない、というのが私の感想なのだが、最後の最後で、本作の主役というか狂言回しポジションの精神科医?が「私は常識テロリストになりたい」とか言い出したところはちょっと面白かった。

テロリストとかいってるけど、この本には、そんなイキらねばならないほど、いまどきの常識から外れたことは書かれていないんじゃなかろうか。どちらかといえば、いちおう、いい意味で。

 

テロリストといえば、そういや最近ノウハウ本をコミカライズしたみたいという感想を抱いたマンガを他に読んだことを思い出したが、こっちとは色々真逆だったな……。

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