形がなくても あなたは見えると言った
売れないけれど紅白出場を目指しがんばる演歌歌手五木みさおとそれを支える勘違い家族や周辺の人々を描いたちょっと痛々しいギャグ漫画…かと思って読み進めたらものすごくいい話だったでござる。疲れてる時なら泣いてたこれ。
主要な登場人物は表紙に出ているせいぜい10人足らずで、前半でギャグ描写に使われていた内容が後半でうまいとこ感動ネタにつながっているなど、長い時を通じての深い家族愛的なものを描いていながらうまいところコンパクトにまとまっている良作です。
ちなみにこの作者さんの作品はじめて読んだんですけど、なんとなくギャグのタイミングとかセリフの雰囲気が徳弘正也っぽいなと思いました。
なお、内容としてはみさおの亡くなった妻が遺していったビデオレターが面白かったです。過去に録画されたビデオを流しているだけなのに、なぜか現在の人たちの行動がお見通しという。方向性としては陣内智則の映像ネタなんかが近いかも。
これはちょっと違うやつだけど好きなもんで
その膨大なビデオレターを、突然女社長がすべて破壊したのをきっかけに、妻の真意がわかる。そして怒涛の後半へ…!
なお、青年向けぽいので、当初は、女社長に冷遇され友人からは下に見られ彼を支えてくれるのは妻が遺した娘一人のみ、という痛々しい感じを予想していたんですが、意外にもみさおさんたらみんなにモッテモテ。真摯で純朴で一途なみさおさんにみんな夢中ですよ。大人向けの世知辛い人情ものというより、演歌を舞台にした俺ツエー系ファンタジーかもしれないです。(って書くとなんかあれですけど、いい話でしたよほんと)