7人組の地下アイドルグループChamJamを中心として、その中のダントツ不人気メンの「舞菜」を熱狂的に押すジャージ女子(ほかの服は貢ぐために売った)「えりぴよ」と、その仲間たちがきゃいきゃいするおはなし。今だと一巻だけならkindle unlimitedで読めるようなので、読むといいですよ!(そして私と同じ百合沼にはまるといい)
アニメ化したらしいですが(おめでとうございます!)、アニメは観ていないので漫画版だけの感想です。
この作者さんはそもそもソフト百合っぽい感じのものを書かれるかたなんですが、このシリーズ全体としても女の子同士がいちゃいちゃしたり、密かに思いあったりする百合っぽい描写が多いです。ていうか百合ではない男女の恋愛関係はファン→アイドルという一方通行限定。
この作者さんの場合、百合と聞いてイメージする静謐で謎めいた感じとは一線を画す、わけのわからないテンションの高さがいいです。もともと自分は百合が好きというよりも、一時期のエロゲやBLのような「コアとなる要素が入っていれば(この場合「百合」)、あとはなんでもOK!」という未開の野を荒馬を駆って暴れまわる、みたいな感じが好きで読み始めたんですが
個人的には、この漫画によって地下アイドルのシステムを知ることができたので大変感謝しています。
CD複数買いが当然とか! チェキとか!! 写真のコンプとか!!! 人気投票とか!!!! なるほどそういう仕組みになっていたのか、と! ファンの絶対数が少なくても、そういう方法で一人のファンが落とす単価を上げているのだなあ、と!!
あと、接触で前に話したことを覚えていてくれるとか、特定のファンへの固定レスがあるとか。さらには、グループがメジャー目指して頑張っているのを応援して、どこにでも遠征にいくとか。こういうのは、ファンの絶対数が少ない地下アイドルならではの楽しみ方ですよね。
あまりに楽しそうなので、私もどこかの地下アイドル追いかけたくなりました、マジで。
一番好きなシーンはここです。
ちなみに、「初お披露目の衣装のため」に、炎天下の半地下で十数時間脱水症状になりかかりながら列待機したあとでのこれですよ…? つくづくアイドルって宗教だなあというかなんというか、この世界線には戦争とかないと思う。
なお、アイドルものなので女性キャラがみんな可愛いのは言わずもがななんですが、なんというか、ファンの男性たちの造形が、なにげにうまいなあと思います。
「いかにもオタク」「ちょっとブサ」「彼女いなそう」「たしかにこういう人が地下アイドルに声援送ってるイメージ!」…なのに「でもなんか嫌悪感はない」「ちょっとかわいくすら見える」っていう、絶妙のラインだなと。
女の子たちがきらきらして可愛くても、それに声援送るファンが汚いと、なんというか地獄みたいな感じがしてしまうので、こういうの大事だなと思います。
アイドル側の女の子たちのフィルターを通すと声援送ってくれるファンはこんな風に見えています! ということだったりしたら素敵だな! と思いました。
なお、4・5巻の頃には、テレビCM出演とか、メジャーいけるとか、新曲のリリースイベントを打ちに東京へ、とか、いろいろ大きな展開がありそうだったんですが、最新7巻だとまた再び地方ローカルでのんびりやってる感じになってますね
武道館を夢見るアイドルは数あれど、本当にいけるのは極少数だとは思いますが、できればそこまでやってもらいたいものです。
ところで、今回これ書きながら気づいたんですけど、主人公えりぴよが推すアイドルの「舞菜」って、名前の由来もしかして「マイナー」の駄洒落なのか…もしや…?