あらすじ→沼倉孝一は、幼い頃に木村という名のヤクザに母を奪われた。復讐を誓った沼倉は、漫画『北斗の拳』を読み続けることによって伝説の暗殺拳を体得し仇を討とうとする。
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こういう一発ネタものは大抵息切れする上に、ケンシロウにもよろしくにも既視感ありまくりだったためスルーするかどうか悩んだのだが、どうしても、どうしても、どうしても気になってポチった一冊。かなり当たりでした！
内容としてはあらすじに書いてあることが全てというか…途中からお色気担当（メタ的な意味で）の助手を雇用するのですが、復讐に燃える主人公にとってはあくまで傍系のエピソードのようで、特に恋愛に発展したりドキドキする展開とかないです。
そっけなく見えた主人公が、実は影では彼女を支えてあげていて…みたいな、心温まる（はず）のエピソードもあるのですが、女性と一緒の職場になって嬉し恥ずかしワクワクドキドキ！ とか、実は下心もあるんだぜゲヘヘ、みたいな描写も特にないので、なんかこう、あれっ、なんで結局この人は彼女を助けてるんだろ？ みたいな…。困窮して半ば風俗のようなマッサージ店で働いていた彼女がやむなく主人公を頼ってきたというところもあって、女性に対する好意とか優しさというよりは困っている人に対する人類愛？ みたいな印象を受けます。いかつい面相と破けた袖で、しかし旅をする理由が究極的には「女」であるケンシロウよりも、この漫画の主人公のほうがむしろ本物の硬派と言えるかもしれません。
なお、ヤクザに母を奪われたといっても、１巻開始早々に、むしろ母のほうから積極的にヤクザのほうへ行っているんだが…という感じで、主人公の空回りっぷりはすでにその時点でゲージMAX。２巻ではいつの間にか「奪われたっていうか、ヤクザが暴力振るってくるタイプだったのでそれがトラウマで…うん」みたいな感じになってるんですが、なんかこう、どこまでいっても「に、しても、なんで復讐するためにその方法選んだの？」という疑念はついてまわるわけで。
その因縁のヤクザとは早くも１巻で再開するのですが（早い展開イイヨー、トテモイイヨー！）、なんと末期の癌に侵されていることが判明。自分が殺す前に空いてが死んでしまう！ と、ショックを受ける主人公。そして主人公は「復讐のために（無残に殺すために）、味方のふりをする（ヤクザを健康にする）」というシリアス漫画なら陰のある人気キャラの役どころの決意を胸に、ヤクザにお店に通ってもらうためにエロいマッサージでおっさんを昇天させたり、テレビのマッサージバラエティのためにキャラ立てに勤しんだりと、艱難辛苦を乗り越えます。そして血の涙を流しながらヤクザへの健康マッサージを施す主人公ですが、２巻の最後ではさらに衝撃展開が…！！
そもそもマッサージ漫画が好きなので、点数が甘くなりがちな面は否めませんが、この静かなる熱暴走マシーンみたいな主人公の、死神が群れをなしてついてきているとしか思えないヤクザへの復讐劇は、いったいどこへたどりつくのだろう？ というのはけっこう気になります。
みんな幸せになりすように！
１巻よりも２巻の表紙のほうがキャッチーなので、１巻がこんな感じならもっと迷わず買ったかも…と思ったり思わなかったり
ちなみにマッサージものとしてはこちらもオススメです。ほぐされ紳士、楺井さん。
