少し批判的なことを書く。
恋愛に主題がおかれているか否かに関わらず、少年漫画におけるヒロインは「女神」か「被害者」のどちらかに分けられる。
簡単に言えば、主人公目線から見て上の立場か下の立場かということである。このヒロインは女神でこっちのヒロインは被害者、というよりも、大抵の場合、一人のヒロインが展開上時に女神となり時に被害者となる。女神とは、手の届かぬ絶対的な存在であり、最低でも主人公の運命を、場合によっては世界の運命すらも左右する力を持っている強い女。いっぽう被害者とは、己が己の意のままにならぬ状態に陥り主人公の助けを必要としている弱い女のことだ。書いてて思ったが、特に比喩でもなんでもなく聖闘士星矢では危機に陥った女神(アテナ)まんまを助けるのがお約束で、神のみぞ知るセカイも思えば女神を救う話だった。困っている弱い女性を助ける強い俺というのは少年の心をとらえやすいのだろうし、どうせ助けるならなんかすごそうな女を助けたほうが自分の株もあがろうというものなので、ストーリーテリングの都合上そういった設定が用いられるのはよくわかる。どうせハーレクインを読むなら、そこらへんの中小企業の万年平社員と婚活パーティで出会いましたとかよりも、無理に誘われたセレブのパーティでアラブのイケメン大富豪に見初められて…?なんてほうが盛り上がるってもんです。
ただ、こういう日常系で、こういう子いるなあ、いるといいなあってレベルだった女の子の女神レベルが、いつのまにやら人外級のガチ女神にまで昇格しているのはいただけない。別に高木さんに実は女神が乗り移っていたとか急に戦争がはじまって最終兵器に改造されたとかそういうことではない。いや、むしろそういう超展開のほうがまだよかった。彼女は人外。精神性も人外。それならまだわかるのだけど…。
なんだか面倒になってきたのではっきり言う。高木さんの「お察し能力」が、いくらなんでも高すぎるだろ。
西片の考えていることを一言一句違わず当て、考えの中身やタイミングまで完全に読み切って意表をつく。漫画なんだからと言われればそれまでだが、7巻はそういった内容があまりに多すぎた。読者に受けたものが繰り返されているのだとすれば、世の中の男子はそんなにも女子に自分のことを察してもらいたいのだろうか。そういう男子を女子がいったいどういう目で見ているかはこれとか読むといいんじゃないかな。
とはいえ少女漫画のなかでは、女心に詳しすぎる男が縦横無尽に大活躍しているわけなので、まあどっちもどっちなんですけどね。
ただ、これまで高木さんてあまり女神化せず、なんかいそうだなあこういう子、いいなあこういう会話したかったなあっていうギリギリのところをきていたので、なんだかすごく残念。いや実際には元から奥手男子のドリーム感はあったんだけどもさ。あの絶妙さ加減、難しいんだろうけれども、あのギリギリありそうでなさそうでもしかしたらどこかにはあるのかもしれない感よどうか再び。