メンヘラ出てくる系のマンガが続いたなあ、と見返していて、そういえば最近これも読んだなと思い出したマンガ。
結論から言えば、モヤっとした。
タイトルから期待するのは、読んでるこちらも胸がスカッとする系のマンガである。美人であるが故にさまざまな妬み嫉みを受ける白川さんが、そういう負の感情をぶつけてくるちっちぇえ相手に、強めメンタルでスパッとなにか気の利いたことを言い返す、みたいな。しかもタイトルに並んで「コミックエッセイ」と銘打たれているので、もしかして実話? 実在するスカッと話? という期待だ。
類稀なる美人という天分に恵まれたのに、気が弱いゆえに容姿の良さが逆に不幸を招くばかりで読んでるこちらまでやきもきする…という「すぐに泣いてます」と真逆の漫画かな、みたいな。
別に内容がそこから大きくずれているわけではない。だいたいそういう内容ではあった。あったのだが…強メンタルというか、ただの空気が読めない自分大好き女という感じで、どうにも好きになれなかった。
また、メンタルの強さが「他人への発言」よりも「彼女はそれに対してこう受け思っている」という形で示されるパターンがけっこうあるため、これがエッセイだとしたらこれは作者本人の話かなんかなんですか? という印象を受けてしまう。とすると、自分をメンタル強め美女とか言って自分スゲー語りを本にまでするようなやつって、メンタル強いかもしんないけどどっか歪んでない? みたいな気がしてしまう。
まあ、実際には「こういう人がメンタル強いと作者は思っている」という話なだけで、作者の自分語りではなさそうという気はするんですが…「コミックエッセイ」と銘打ったのはちょっと悪手かもしれない。
ただ、メンタルの強い人というのは「自己肯定感が高く、周りが自分をどう思っていても気にしない」がゆえにメンタルが強く、つまりは私からの好感度の高さなど一切求めていないであろうから、この感想はある意味正しいというか、リアルではある。現実でもこんな感じの人会ったことある気がするなあ、と、何人かの顔を思い出したりした。
ただ、マンガとして面白いかと言われればやっぱり、あんまり…だ。
ディスるつもりはないのだが、もう少し絵が超美麗とかで、白川さんの絵を見ているだけでこちらも幸せになる…という感じだったらまた違ったかもしれないが、絵としてはあっさり系というか「彼女は美人である」という記号を示す以上の役割を果たしてくれなかったのが残念。(ちなみにあっさり系の絵柄自体は嫌いではない)
なお、空気を読まない自分大好き美女がスパスパ言いたい放題系で言うと「ハイパーミディ中島ハルコ」は一時期めちゃくちゃ読み返したので、いったいふたつは何が違うのかを考えてみたのだが、中島ハルコのほうは彼女の考え方や発言にこちらもハッとさせられることがあったが、白川さんにはなかった。
つまり、中島ハルコは身勝手に振る舞ってはいるがそんな彼女から受け取れるものあったので好感を持ったが、白川さんからは新たになにも受けとれるものがなかった(彼女のような言動をする実在の人・キャラクターをすでに知っていた)ので好感を持てなかった。と、そういうことなのかもしれない。人生で初めて出会った強メンタル美女が出てくる漫画がこれだったら、もしかしたら面白く読めたのかも。
なお、このマンガの感想というよりも東村アキコの礼賛みたいな話になってしまったが(※「中島ハルコ」については、原作:林真理子)、ステマとかではないです。