これ、読みました

読んだものとか感想とかを粛々と記録するブログ。

漫画

夢の端々 上下巻(完結)

投稿日:

恋はいつか終わるものだし、青春という熱病から醒めるのは多分もっとずっと早い。

物語は、ある老女を、かつての同級生だった老女が訪ねてくるところから始まる。二人はかつて恋仲であったことを伺わせる。しかし、互いの手をとりあうにはすでに歳月は遠く過ぎてしまっていた。枯れていくばかりの老女と、今でも闊達で自由な、眩しく映る彼女。わずかばかり思い出に浸り、それが遠い日の夢にすぎないことを確認して、別れ、そして彼女は不慮の事故で帰らぬ人となる。それが一話。

話が進むごとに時代は遡る。ひとりは平凡な人生を失い、ひとりは平凡な人生のみを強いられることとなった。それぞれに不満で、それぞれに充実した日々。若い頃、女学校という鳥籠の中で罹患した女同士の恋という熱病が残したものは、甘い思い出よりもあまりに重い後遺症。それはその後の二人の人生に、小さな影を落とし続ける。

思い続けていればいつかは結ばれるとか、苦しくともつらくとも恋は尊い、とか、そんな夢物語に現実というものの重みを突きつける。醜聞で婚約破棄となるなど、古い時代・古い価値観を描いていることも含め、文学作品のような趣。

子供の戯れのようなその恋は、その後の彼女らの人生を彩るものではなくむしろ重荷になっているようにすら見える。彼女らはどう思い生涯を過ごしたのだろうか。後悔していた? それとも?

-漫画
-, , ,

執筆者:

関連記事

藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道 名作秘話編

引き続きまいっちんぐ。   のび太の恐竜には元ネタになった別の話がある きたーーーーーーーー!!! まさかこんな裏話が読める日が来るとは思ってもいませんでした!!! ありがとうございますえび …

蛇蔵+鈴木ツタ+たら子「天地創造デザイン部」1〜6巻

おそらく生涯読み続けるであろう私のバイブルのひとつ。最高に面白い。あとアニメ化おめでとうございます。ところで文科省のかた、これが教科書に採用されるのはいつごろになりそうですか? 蛇蔵+鈴木ツタ+たら子「天地創造デザイン部」1〜6巻

いとなみいとなめず 1〜2巻

タイトルに偽りなき恋愛ファンタジー「いとなみいとなめず 1〜2巻」

凪のお暇 3

ぎゃああああああああ! 怖い! 怖すぎるだろ!! まさかのホラー展開キタコレ。 3巻のはじめは慎二との思い出話からはじまる。そして、なぜ凪が「空気を読みすぎる」性格に至ったのかという話を経て、ゴンさん …

紛争でしたら八田まで 1〜4巻

主人公が考古学者志望のオッサンではなくギャルになったマスターキートン。最新の世界情勢に詳しくなれる?!「紛争でしたら八田まで 1〜4巻」

カテゴリー