気がつけば全巻買ってるこのシリーズ。実は私のなかでは鬼平犯科帳と同じカテゴリに入っている。
なにが同じかって、なんというか、人の世の不条理が描かれているところ。まったく理想化戯画化していない…とはさすがに言わないけれど、勧善懲悪が徹底しているわけでもなく、かといってピカレスクロマンでもなく、強くもなく弱くもなくある意味普通のひとたちが「まあ、そういうことあるよね」「ああ、そういう人もいるんだ」という感想を抱かせながら通り過ぎていく感じ。その昔、奉行が桜を見せ将軍が暴れん坊し副将軍は諸国を放浪している時代劇ドラマにおいて「単話キャラだが味方側のいい人っぽい人」が死ぬという展開を始めて観せられたのが鬼平犯科帳で、最後に流れるなんと切ない音楽とともに、世界というものの真実を突きつけられた気分になったものであった。
そういえばこの鬼平を若いイケメンキャラでアニメ化するとか言ってネットがざわついていたけれど、結局潰れたのかな…と思って調べたら、あった。ていうかもう終わってた。それなりに評判いいみたいだけど観ないと思う。
と、なんだか鬼平の話になってしまったけれど、というわけで今巻も面白かったです。みそバターラーメンと小松菜の話が特に心に残ったかな。あと野球のやつが、最後で「なんだよ元気なのかよ!」と思ったw
このシリーズはもう新しい展開とか血沸き肉踊る感じとか一切求めていないので、このまま淡々とサザエさんコナンくん空間でいつまでもやっていってほしいと思います。こういう食堂、うちの近所にもあればいいのになー。頼んだもの作ってくれるとかすごいいいよね。
ちなみに似たようなカテゴリで好きだったシリーズに、
があるんだけど、店主を結婚させちゃったの正直悪手じゃないかなと思ってて。もう読むのをやめてしまったんだけど、今どうなっているんだろうか…
新キャラが投入されるのは別に全然気にならないんだけど、これまで延々とみてきたキャラの立場や心情に変化があるのって、こういうシリーズでは求めてない感じあるんだよね…作者さんからしたらキャラクターが自分の子どもみたいなもんだから、幸せにしてやりたい! みたいな心情が働くのかしら。