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ママの推しは教祖様 ~家族が新興宗教にハマってハチャメチャになったお話~

投稿日:2018年4月17日 更新日:

家族が新興宗教にハマって、というより、母親がもともと新興宗教の信者だった作者さんの話。

作者さんも子供のうちは外の世界を知らないのでそういうものだと思ってきたけれど、いわゆる世間の常識がわかるようになってから、あれ、うちの母親ってなんかおかしくね、ということに気づき始める。ただ、それなりに宗教とも母親ともやっていくも、母の盲信具合はどんどん加速。

家族よりも宗教が大事だと主張する母親を前に、ついに家族は崩壊。最終的には、おかしいのはその新興宗教ではなくそれを己に都合よく利用する自分の母親だ、と結論づける。

仮にママが宗教にハマっていなくても

別のものに依存していたと思う

常に何かのせいにしていなければ平穏でいられなかったんだろうし

何かに固執しなければ生きていけなかったのだろう

問題は宗教ではなくそれを使う人

タイトルだけだと新興宗教ってやっぱり怖い?という話っぽいですが、繰り返し語られることには、作者さんも、作者さんのお父さんも、宗教そのものは否定していないです。

作者さんのお父さんも、別の宗教を信仰しています。洗礼も受けたカトリック信者。しかし新興宗教だからダメだという否定は一切していません。宗教に優劣はつけていないし、宗教というものの有用性は認めています。よりよく生きるために宗教を心の支えにするのはありだと。だから信仰も認めたいたけれど、宗教そのものが生きる目的になってしまっているからダメだと。

そして、作者さんは、母親にとって大事なのはその宗教そのものではなく自分を無条件に全肯定してくれる都合のいい存在なのだと看破します。

母親が宗教について語っていることは、実際にその宗教そのものの教義とは微妙に異なる。

その宗教に関わっているひとは皆穏やかだったのに、母親は、宗教を理由に凶暴化し暴力を振るう。

世間とうまく付き合えない母親が、自分を全肯定する理由を都合よく与えてくれる存在、いや、与えてくれていると都合よく思い込むのに便利だった存在が、その新興宗教というわけ。

学校やご近所などのグループとは違って

そこにいれば決して「仲間はずれ」にはらないのだ

いわゆる「社会から外れた者」でも受けいれてくれる

そう…「お布施」さえすれば誰だって

作者さんは、新興宗教の存在を、同一のアイドルやアニメが好きなオタクグループに模して考えているんですけれど、私もすごくそれわかります。お布施の問題があるから新興宗教ってより胡散臭くみられると思うんだけど、要は尊いと呟けば仲間に入れる世界ってことなんですよね。なんか棘のある言い方になった気がしますが、私もめっちゃお世話になってます。

多分色々考えながら描いたんだろうなと思う

ちなみにはじめのうちは、母親が宗教に洗脳された、と書かれていました。

しかし、回を追うことに、宗教そのものは別にそこまでおかしくなかった、という話になり、実はうちの母は霊感が強くて世間とうまくやれなかったのかもという話を経て、いややっぱそこが問題じゃねーわというところにたどり着いてます。

pixivで載っていたのをコミックス化したらしいですが、最終的な結論ありきで描き始めたのではなく、描きながら、過去の事実を整理し、自分の心の整理をつけて、そういう結論に至ったんだろうなと思います。

なお、あくまでも宗教問題の流れのなかで唐突に母親の元カレの話がはじまったときには、ノンフィクションってすげえwwwと感服しましたwww

ちなみにお父さんもちょっとおかしくない???

作者さん自身はお父さんの存在や発言にかなり救われていたようで、お父さんについて悪く言う描写は基本的にありません。ただ、第三者としては、お父さんにも、あれっ、と、思うところがあって…

そもそもお母さんのことが好きでしかたなくて結婚したんじゃないんだろうなー、とか、お母さんや家族に対して態度がクールすぎるんじゃないかなとか。特に16話とか読むと、そこまで深刻化する前にもう少し夫婦でなんとかならなかったのかなとか思ったりもするんですが。つうても漫画で描かれている部分だけどうこういう話でもないだろうなと思うので気になりつつも言及は避けますが。

ただ、ちょっと看過できないなあってのが。

母親がもうダメだって即離婚を決めたまではグッジョブとして。離婚の際に親権を取ったのも超グッジョブで。でも、それで、親権をまかせられないくらい危ない母親のもとに子全員おいて自分だけ家を出るってどうなんですかね

実際それで、作者さんもお兄さんも母親から怪我を負わされ、一番下の弟くんはこのままでは危ないと判断した兄姉により父親のところに逃してもらったわけで。逃げる先があったのはいいけれど、父親が全員引き取れよっていう

これも描かれざる事情があってひきとりたかったけど無理な理由はあったのかもしれませんが。子供を見捨てて自分だけスタコラサッサと逃げたように見えて、読んでてイラッとしました。

宗教というよりは毒親の話かも

タイトルで手にとったときは、

↑の感想

を思い浮かべてたんですけど、内容としては、

のほうが近かったかなと思います。

親が依存する先が、自分の子供なのか、宗教なのかという違い。

親がおかしかったために、子供が、世の中の類似のおかしい人にうまく気づけないというところもあるあるですね。

まとめ

なんだか重い話のようですが、描き方のリズム感もよく、なんだかんだで渦中の当人は意外にたくましいもので、ちょいちょい笑える箇所があって楽しく読めます。

書き下ろしは重かったですけど。

最後のひとことには泣けます。

どんな親でも、子供にとっては親は親なんですよね…

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