この漫画についてなにより言っておかねばならないのは、深谷かほると新谷かおるは別人だということです。
……あれ?
知ってました?
…………あれ…………。
まあ、とにかくですね。公式サイトで一部読んで気になってはいたものの、あの新谷かおる先生が、弱者にそっと寄り添うほのぼの猫マンガなんか書くようになったのか…となんだか少し寂しい気持ちになってなんとなく避けていたんです。でも、別人です。
避けてはいたものの、なんだか疲れ切った気持ちになってしまった夜に、ふとネットでみかけてどうしても読みたい気持ちになって。「あの」新谷かおるが「あの」新谷かおるのままでいてほしいなんてのは自分だけのエゴで、人は変わっていくのものなんだから、新谷かおるの変化を受け入れ今の作品を楽しもう…と、私のなかではなにか一つ壁を乗り越えた気持ちで全巻ポチったんですけど、はい、深谷かほると新谷かおるは別人です。
あとがきで作者さんがけっこう年配の女性だというエピソードがあり、「…新谷かおるって女性だっけ?」とさすがに不思議に思ってwikipediaで調べ、ようやく別人だと判明。(判明…?)
絵柄でわかりそうなものですが、器用に絵柄変えてくる漫画家さんてけっこう多いじゃないですか…某鼻毛真拳の人とか。
まあそんな感じで紆余曲折があったんですけど(私のなかでだけ)、とにかく弱った心にしみる漫画です。世の中こんなに善人ばかりじゃないよなと思いつつも、弱い人が悲惨な目にあったままは終わらないのはほっとします。あと、やっぱり猫はかわいい。
なお。私のなかのあの新谷かおるのイメージとは、まあこれですよ
絵が可愛い感じなので軽い気持ちで読み始めたら主人公の性格暗いわ境遇悲惨だわ人は死にまくるわでなかなか重く、そして最後はとにかく泣けました。戦争ってよくないなと。あれだけがんばってきても、主人公には何も残らなかったのです。なにも…。