第七官界彷徨、のように、六文字の漢字だけで構成されているタイトルにはなんともいえな魅力がある。
そんなわけでほぼタイトルだけにつられて読んでみたのだが、なかなかよかった。タイトルから推察される通り、内容としては理論的に厳密につきつめようとしてしまったドラえもん系。パラレルワールドというものがコントロールできるとしたらどうなるか、自分以外の時間がすべて停止してしまったらこうなるのでは、不老不死だが知能も悪意もない存在が生み出されたらどうなるか、などを、その「if」以外部分はご都合主義展開無しで脳内検証してみた系の話。好きである。なお、絵の感じは表紙そのままで、人間の顔にデッサンという概念は導入されていないが、書き込みは丁寧であり、全体にただようメランコリーな空気ともあっている。好きである。
同じ作者さんでもう一冊出ているようなので、SFっぽいのが読みたくなったらまた手を出してみようかな、という感じ。個人的には、この作者さんの手腕で「ぼくらの」みたいな長編を読んでみたい気もする。