八田のチセイにお任せを
が、決めゼリフ。
当初、考えなしの暴力的な解決方法に対し「知性」での解決の意かと思っていたのだが、「地政」と「知性」をかけてカタカナにしていると途中から理解。
「地政」とは?
地政学という言葉自体をこの漫画で初めて知ったのだが、
地理的な環境が国家に与える政治的(主に国際政治)、軍事的、経済的な影響を、巨視的な視点で研究するもの
https://ja.wikipedia.org/wiki/地政学
だそうだ。
wikipediaに色々詳しく載っているが、ともあれ四大文明は大きな川の近くで発祥したとか、スイスは険しい山に囲まれているので独立が保てたとか、日本は海に囲まれているので昔は船での運搬が一般的だったとかそういうことじゃないかと思う。シムシティやシムアースが好きな人にはたまらない系だ。(私である)
主人公がギャルになったマスターキートン
ストーリーは決め台詞の通り、文武両道・才色兼備なシスコン格闘女子、八田が、地政学の知識を使って各地の紛争を解決していくというもの。
ただ、はじめの事件はかなり「地政学」で比較的抽象化された観点でも語られていてワクワクしたのだが、その後の事件では個々の問題に特化しすぎた話になっていたのが少し残念。民族や宗教、世代の違いの対立も地政学のうちと言われればそれまでだが、発生する事件は架空のものなので、誰と誰が対立しているからどうこうと言われてもイマイチ乗れない部分はある。抽象的に「隣国同志は必ず対立する」みたいな話になると、我が身に置きかえて色々考えられる部分も出てきて面白のだが…
そんなわけで、全体としては、地政学が云々というより主人公がギャルになったマスターキートン、という感じ。
スカートが短いせいか、それとも性別そのものがそう扱われるのか、各地で娼婦(ビッチ)扱いされるのが導入部のお約束である。
なお、事件自体は架空ではあるが実在する地域の実在する問題をベースにしているので、普段のニュースなどにはあがってこずよほど興味を持って調べていない以上は耳に入ってこないような世界情勢がわかるのは良い。
個人の力だけで解決せず、民間軍事会社と提携したりしているのも今風でよい。なお、その民間軍事会社の兵隊が、やっていることは同じでも「傭兵」という言葉を忌避するのも面白い。名目は大事!
なお、表紙には出ていないが、東京海上日動火災のリスクコンサルタントを務めている人が1巻からずっと監修についているとかで、世界情勢について書かれていることが間違いなさそうなのも安心して読める。漫画にそれらしく書いてあるけど全部架空、あるいは作者の勘違い、みたいな話だと、気をつけながら読まなければいけなくなるので疲れてしまうからな…なお、巻末に、作品とは関係のない最新の世界情勢についての解説などもあって、適当なネットニュースを眺めているだけよりも勉強になったりする。
外国ものといえば各地の名物
世界各地の名物などをさりげなく紹介していくのもマスターキートンぽい。マスターキートンで印象に残っているのは屋台のジェラート(ママンのシェパードパイも捨てがたいが…)。この漫画でも様々な未知の料理やその蘊蓄が出てくるが、私のなかで暫定一位はこれ。
ナムキンというらしい。インドのスナック、おそらく日本でいうポテチや柿ピーみたいな扱いのものだと思うのだが、乾燥豆にスパイスで味付けし、ぽりぽりつまむ感じのもののようだ。スパイスのバラエティ豊かなインドでどんな味付けがされているのか味の想像が全然できない。あー、食べてみたい!